TOMEI NA YURIKAGO
清水靖晃が音楽を手掛ける、NHK連続ドラマ第4作品目『透明なゆりかご』。町の小さな産婦人科医院を舞台に、ひとりの感性豊かな少女・アオイの目線で「命とは何か」を問い、見つめていく、実体験を基にした沖田X華原作の人気漫画シリーズをドラマ化。原作・脚本・演出・音楽・映像・出演者陣の強い想いと覚悟、妥協ない真摯な内容が話題となり、全てが見事に結晶した “決して色褪せることのない至高のドラマ” として大きな反響を呼びました。
時代背景、登場人物の心模様や気配、ほのかに匂いまで漂わせる清水の技巧。空間、質感が相互に包含しあい、精妙な奥行きを纏う。一つとして同じ意味合いのない、それでいて愛おしさと厳しさに彩られた楽曲たち。清澄なヴォカリーズが響く「慈愛の日々」、穏やかに流れるピアノソロ「Re-Happy Birthday」、母親が無意識に口ずさむことを思い描きながら作曲したという「コモリウタ I」ほか、凝縮した選りすぐりの23曲を収録。
アートローグ|2018年10月19日
イントキシケイト|2018月12月号
「透明なゆりかご」というドラマは、“命って何だろう”と観る人に問いかけてゆく作品です。明確に答えを提示するとか、善悪を断じるというものではなく。だから音楽も、ひとつの価値観を押しつけるようなものであってはいけない。登場人物たちの苦悩や喜びにそっと寄り添い、深みを授けるような音楽であって欲しい ―― それが今回、清水靖晃さんにオファーした一番の理由です。清水さんは私たちの思いを汲み、素晴らしい曲の数々を産み出してくださいました。特に「慈愛の日々」のデモ音源を聞いたときの、体の内側が静かに震えるようなあの感覚は忘れられません。ドラマ全体をまさに慈愛の眼差しで包み込む音楽たち。どうぞ、あらためてお楽しみください。
制作統括:須崎岳
「質感」「空間」「肌触り」― 清水さんと話している時、よく出てくる言葉たちだ。清水さんの音楽は、その研ぎ澄まされた「質感」、「空間」を濃密に感じさせる響き、艶かしい「肌触り」において、突出している。そんな清水さんはまた、僕の作るドラマの「質感」「空間」「肌触り」を深く理解してくれる大切なパートナーでもある。だから、撮り上げた映像と清水さんの音楽が初めて出会う時は、いつも至福の瞬間だ。映像だけでは見えなかった様々な「質感」「空間」「肌触り」が立ち上がってくる。ドラマの新たな姿が現れた瞬間にいつも心が震える。「透明なゆりかご」でも、清水さんの音楽は、命の誕生と喪失の物語を深く彩り、その中で生きている人たちに静かな光を投げかけてくれた。
演出:柴田岳志
作曲・演奏:清水靖晃
「リ-ハッピー・バースデイ」編曲: 清水靖晃
(原曲「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」作曲:パティ・スミス・ヒル、ミルドレッド・J・ヒル)
清水靖晃:テナーサキソフォン / ピアノ / キーボード / プログラミング
鈴木広志:フルート(2、22)
神田智子:ヴォーカル(4、11)
レコーディング:清水靖晃(サブマリンスタジオ)
アディショナル・レコーディング(NHK CR-506 スタジオ)/ミキシング(NHK CP-604スタジオ):高橋清孝
アシスタントエンジニア:佐々木志了(SCI)
マニピュレーター:斎藤茂彦
録音:2018年3月~6月
マスタリング:田中三一(スタジオアトリオ)