MIWOTSUKUSHI RYORICHO
『55歳からのハローライフ』(2014年)、『夏目漱石の妻』(2016年)に続き、清水靖晃がサウンドトラックを手掛けたNHK連続ドラマ『みをつくし料理帖』。大坂に生まれた天涯孤独な少女・澪が艱難辛苦に巻き込まれながらも、やがて江戸屈指の女料理人になるまでを描いた、髙田郁原作の人気小説シリーズ。
立ち昇るリフレインがひと筋の光になり希望へと導く「雲外蒼天」。可憐で軽やかな「下がり眉テーマ」は、主人公・澪が困った時に見せる表情をチャーミングに表現。ちょっとドジで頼りなさそう…でも芯は強く、料理道を突き進む志を繊細かつ優美に包み込む。
清水ワールドの深みへ、ようこそ。
清水さんとの出会いは、バッハ「無伴奏チェロ組曲」の第1作が世に現れた頃のこと。その深遠なサックスの響きに心を奪われた私は、さっそく当時企画演出していた単発ドラマ「もうひとつの心臓」の音楽をぜひ!と清水さんに声をおかけしたのだった。
それから20年、今では清水さんは私のドラマ作りに欠かせない最も大切なパートナーである。
出会った頃は、清水さんの孤高の音楽性は単発ドラマ向きのものだと思っていた。しかしつき合いを深めるうちに、清水さんの中にある音楽世界は、JazzやらClassicやら、前衛アートやらポピュラーミュージックやらの垣根を越えた深く広大なもので、様々な種類の音楽に対する旺盛な好奇心と深い見識に支えられたものだということに、気づいていったのだ。
以来、ラジオドラマ「残穢」、放送90年ドラマ「鬼と呼ばれた男」、「夏目漱石の妻」(4回シリーズ)、そして今回の「みをつくし料理帖」(8回シリーズ)と、毎回違ったジャンルにトライしてもらい、上がりはいずれもお聴きの通り、大変ユニークで素晴らしいものだ。しかも完成した作品の底には、凛とした透明感ある「静謐さ」ともいうべきものが常に流れており、まさに清水さんにしか作り得ない唯一無二の音楽となっている。
そしてこれだけ作品を重ねてもまだまだ、清水さんの中には、私が知らない音楽的鉱脈が潜んでいると思わされてしまう。さて今度は清水さんと一緒にどんなドラマを作ろうか…、とつい思ってしまうのだ。清水ワールドの深みへ、ようこそ。
「みをつくし料理帖」演出:柴田岳志
作曲:清水靖晃
清水靖晃:テナーサキソフォン、ピアノ、クラリネット、ドラム、和太鼓、キーボード、プログラミング
江川良子:ソプラノサキソフォン(2)、アルトサキソフォン(9)
レコーディング:清水靖晃(サブマリンスタジオ)
アディショナル・レコーディング(NHK CR-506 スタジオ)、ミキシング (NHK CR-604スタジオ): 高橋清孝
アシスタントエンジニア:高橋義洋(ネオテック)
マニピュレーター:斎藤茂彦
録音:2017年3月~5月
マスタリング:田中三一(スタジオアトリオ)
Composed by Yasuaki Shimizu
Yasuaki Shimizu: tenor saxophone, piano, clarinet, drum, wadaiko, keyboard, programming
Ryoko Wgawa: soprano saxophone (2), Alto saxophone (9)
Recorded by Yasuaki Shimizu at Submarine studio
Additional recording at NHK CR-506 studio, mixing at NHK CR-604 studio by Seiko Takahashi
Assistant engineer: Yoshihiro Takahashi (Neotech)
Manipulator: Shigehiko Saito
Recording: March–May 2017
Mastering: Mitsukazu Tanaka at Studio Atrio